マスケラード
SD妄想吐き出しブログ。
【仙福仙】ふくがきた
仙道の家に福田が来る話。
ピンポーン
最初は聞き間違いかと思って布団を被り直したが、二度目のチャイムによってそれが現実だと気付く。のそりと立ち上がり、寝間着のまま玄関へと向かう。
この時点でチャイムの主が越野ではないことは分かった。越野だったら一度目のチャイムで返事が無かった場合、連続で切れ間なく押してくる。俺の部屋にだけ聞こえるのならまだいいが、アパートのチャイムというのは他の部屋にも響く。そのため、ピンポンピンポンと鳴らされると他の住人の迷惑になるのだ。それを何度も言っているのだが、「お前が早く出てくればいい話だろ」と言って耳を貸さない。なんとも困った話だ。
さて、越野でないと分かったからといって、他には全く見当がつかない。こんな時に俺の家に来るなんて、よほど暇な奴か家にいたくない理由でもある奴かのどちらかだろうとは思う。そもそもただの勧誘かもしれない。だとしたら新年早々ご苦労なこった。
玄関のドアに近づくと、うっすらと流れ込む冷気に思わず体が震えた。早くリビングに戻りたいと思いつつ、覗き穴に顔を寄せる。そこには不機嫌そうな顔をした訪問者がいた。
「福田、どしたの」
ドアを開けて新年の挨拶も無しに、ついそんなことを聞いてしまった。来るなんて一言も言っていなかったので、さすがに俺も動揺した。
「早く入れろ。寒い」
どうやらこの男は新年の挨拶など気にしていないようだった。その上、こちらが招き入れるよりも先に体をねじ込み、俺を押し退けるようにしてズカズカと上がっていった。なんとも遠慮がない。
追うようにしてリビングに向かうと、すでにストーブの前を陣取っていた。暑がりな上に寒がりとは、生きにくい奴だなぁと思わず笑いそうになる。が、それだと福田の機嫌を損ねるだけなので咳払いで誤魔化した。
「で、どうしたんだよ」
「あけましておめでとうございます」
「お、おう。おめでと」
「今年もよろしく」
「あーいや…こちらこそ」
こちらの質問には一切答えず、いきなりテンプレのような新年の挨拶をしてくる福田にたじろいだ。こいつは遠慮はないくせに、妙に律儀なところがある。
福田がガサガサと何かを漁り始めて、そこでようやく紙袋を持ってきていたことに気が付いた。中から出てきたのは小さな三つのタッパーだった。
「なに?これ」
「おせち」
そう言って蓋を外すと、所狭しと敷き詰められた色とりどりのおせち料理が顔を覗かせた。ふわりといい香りが漂ってきて、おぉと俺は感嘆の声を上げた。
「えっなに、どうしたんだよこれ」
「お前のぶん」
紙袋を畳みながら福田はさらりと言った。
「余りだけど」
「……いくら余り物でも、こんなに貰っちゃ悪いだろ」
「お前が実家に帰らないって言ったら、おふくろも持って行っていいって」
「でも」
「ちゃんと三段にしたぞ」
そう言いながら得意気にタッパーを重ねる福田を見て、思わず吹き出した。なるほど、だからわざわざ三つに分けたのか。福田の発想力には脱帽する。
「栗きんとんも多めに入れといた」
「なんで?」
「栗は勝ち栗っつって縁起がいい」
説明が雑すぎて良く分からなかったが、とにかく俺のために考えて持って来てくれたらしい。そうとあっては、遠慮する方が失礼だ。俺はありがたく頂戴することにした。
「そもそもなんでおせちって重ねるんだ?」
思った以上に多い栗きんとんを頬張りながら尋ねると、一緒に栗きんとんを頬張っている目の前の男は、記憶を辿るように目を瞑って顔を斜め上に向けた。それにしても、俺のぶんだと言いつつ、ちゃっかり一緒に突っついているあたりこいつの食い意地の張り方が分かる。
「たしか……めでたさを重ねるとか…そんな意味だったと思う」
「へぇ、一応意味はあるんだな」
今までは、ただなんとなく豪華さを際立たせるために何段も重ねるもんだとばっかり思っていた。さっきの栗きんとんの意味といい、福田は日本の伝統だとかそういうことに妙に詳しいことがある。やはり家が神社だとそうなるもんなのだろうか。
そんなことを思いつつおせちを食べ進めているうちに、見たことのない具材に遭遇した。
「福田、なにこれ。あわび?」
そう俺が尋ねると、福田は怪訝そうな顔をした。
「トコブシだ。…食べたことないのか?」
「無いなぁ……なんでだろ、やっぱり海が近いか遠いかで違うのかね」
「東京だって海近いだろ」
「まぁな」
「お前が忘れてるだけじゃねーのか」
「いやーさすがに忘れないと思うんだが…」
「じゃあ入れるの面倒だったんじゃないのか」
「さぁ、どうなんだろうなあ……あっうまい」
「だろ」
「なぁ、このトコブシってのも何か意味あんの?」
実家のおせちにトコブシが入っていない謎よりも、そっちの方が気になった。再び福田は目を瞑ると、少し考えてから口を開いた。
「ある」
「どんな?」
「福を留める。別名がフクドメだから」
「なるほど」
そう言いながら二つ目のトコブシに手を出す。福田があっという顔をした。どうやら狙っていたらしい。恨めしそうな顔をしてこっちを睨んできたが、そんなこと知ったこっちゃない。これは俺のぶんのおせちだと言ったのは福田の方だ。
それに、そんな意味があるなら尚更やるわけにはいかない。福を留めたいと願っているのは、どう考えても俺の方なのだ。おせちに頼るのはなんだか神頼みのようで信憑性が無いが、こうしておせちをつつきながら福田と正月が過ごせているあたり、馬鹿にしたものでもないなと思った。
もちろん、最後のトコブシも俺が福田に譲ることはなかった。
*********************************************
あけましておめでとうございます。
前回のリョヤスからだいぶ間が空いてしまいました。最近はお絵かきとポケモンに浮気しておりました。申し訳ないです。でも楽しい。楽しいなら仕方ないね。
タイトルが某ドラマに影響されたのは言うまでもないですかね。わかる人はわかるかと。見るたびにね、仙福仙のお題にしか見えなくてですね、はい。すみません。
あと、福田の家が神社ってのは勝手に考えただけです。謹慎中にバスケの練習をしていたのが寺か神社のように見えたので、もしかしてそこが実家なのかな?と勝手に夢を見ております。
だって、勝手にそんなとこで練習なんてできるもんでもないような気がしまして……谷口さんだって神社での練習は夜にやってたよ!いやあれは部活の後だったからだけれども!しかもパワプロクンポケットでも神社で練習出来たような気がしますけども!あれ、意外にできそう…
トコブシもね、あれどうなんですかね。私の家は入っていないんですけど…海が近いところは入れてるご家庭多いんですかね。よく分からないんで曖昧にしました。色んな人に聞いてみたいですね。
そんなこんなで今年もよろしくお願い致します。
ピンポーン
最初は聞き間違いかと思って布団を被り直したが、二度目のチャイムによってそれが現実だと気付く。のそりと立ち上がり、寝間着のまま玄関へと向かう。
この時点でチャイムの主が越野ではないことは分かった。越野だったら一度目のチャイムで返事が無かった場合、連続で切れ間なく押してくる。俺の部屋にだけ聞こえるのならまだいいが、アパートのチャイムというのは他の部屋にも響く。そのため、ピンポンピンポンと鳴らされると他の住人の迷惑になるのだ。それを何度も言っているのだが、「お前が早く出てくればいい話だろ」と言って耳を貸さない。なんとも困った話だ。
さて、越野でないと分かったからといって、他には全く見当がつかない。こんな時に俺の家に来るなんて、よほど暇な奴か家にいたくない理由でもある奴かのどちらかだろうとは思う。そもそもただの勧誘かもしれない。だとしたら新年早々ご苦労なこった。
玄関のドアに近づくと、うっすらと流れ込む冷気に思わず体が震えた。早くリビングに戻りたいと思いつつ、覗き穴に顔を寄せる。そこには不機嫌そうな顔をした訪問者がいた。
「福田、どしたの」
ドアを開けて新年の挨拶も無しに、ついそんなことを聞いてしまった。来るなんて一言も言っていなかったので、さすがに俺も動揺した。
「早く入れろ。寒い」
どうやらこの男は新年の挨拶など気にしていないようだった。その上、こちらが招き入れるよりも先に体をねじ込み、俺を押し退けるようにしてズカズカと上がっていった。なんとも遠慮がない。
追うようにしてリビングに向かうと、すでにストーブの前を陣取っていた。暑がりな上に寒がりとは、生きにくい奴だなぁと思わず笑いそうになる。が、それだと福田の機嫌を損ねるだけなので咳払いで誤魔化した。
「で、どうしたんだよ」
「あけましておめでとうございます」
「お、おう。おめでと」
「今年もよろしく」
「あーいや…こちらこそ」
こちらの質問には一切答えず、いきなりテンプレのような新年の挨拶をしてくる福田にたじろいだ。こいつは遠慮はないくせに、妙に律儀なところがある。
福田がガサガサと何かを漁り始めて、そこでようやく紙袋を持ってきていたことに気が付いた。中から出てきたのは小さな三つのタッパーだった。
「なに?これ」
「おせち」
そう言って蓋を外すと、所狭しと敷き詰められた色とりどりのおせち料理が顔を覗かせた。ふわりといい香りが漂ってきて、おぉと俺は感嘆の声を上げた。
「えっなに、どうしたんだよこれ」
「お前のぶん」
紙袋を畳みながら福田はさらりと言った。
「余りだけど」
「……いくら余り物でも、こんなに貰っちゃ悪いだろ」
「お前が実家に帰らないって言ったら、おふくろも持って行っていいって」
「でも」
「ちゃんと三段にしたぞ」
そう言いながら得意気にタッパーを重ねる福田を見て、思わず吹き出した。なるほど、だからわざわざ三つに分けたのか。福田の発想力には脱帽する。
「栗きんとんも多めに入れといた」
「なんで?」
「栗は勝ち栗っつって縁起がいい」
説明が雑すぎて良く分からなかったが、とにかく俺のために考えて持って来てくれたらしい。そうとあっては、遠慮する方が失礼だ。俺はありがたく頂戴することにした。
「そもそもなんでおせちって重ねるんだ?」
思った以上に多い栗きんとんを頬張りながら尋ねると、一緒に栗きんとんを頬張っている目の前の男は、記憶を辿るように目を瞑って顔を斜め上に向けた。それにしても、俺のぶんだと言いつつ、ちゃっかり一緒に突っついているあたりこいつの食い意地の張り方が分かる。
「たしか……めでたさを重ねるとか…そんな意味だったと思う」
「へぇ、一応意味はあるんだな」
今までは、ただなんとなく豪華さを際立たせるために何段も重ねるもんだとばっかり思っていた。さっきの栗きんとんの意味といい、福田は日本の伝統だとかそういうことに妙に詳しいことがある。やはり家が神社だとそうなるもんなのだろうか。
そんなことを思いつつおせちを食べ進めているうちに、見たことのない具材に遭遇した。
「福田、なにこれ。あわび?」
そう俺が尋ねると、福田は怪訝そうな顔をした。
「トコブシだ。…食べたことないのか?」
「無いなぁ……なんでだろ、やっぱり海が近いか遠いかで違うのかね」
「東京だって海近いだろ」
「まぁな」
「お前が忘れてるだけじゃねーのか」
「いやーさすがに忘れないと思うんだが…」
「じゃあ入れるの面倒だったんじゃないのか」
「さぁ、どうなんだろうなあ……あっうまい」
「だろ」
「なぁ、このトコブシってのも何か意味あんの?」
実家のおせちにトコブシが入っていない謎よりも、そっちの方が気になった。再び福田は目を瞑ると、少し考えてから口を開いた。
「ある」
「どんな?」
「福を留める。別名がフクドメだから」
「なるほど」
そう言いながら二つ目のトコブシに手を出す。福田があっという顔をした。どうやら狙っていたらしい。恨めしそうな顔をしてこっちを睨んできたが、そんなこと知ったこっちゃない。これは俺のぶんのおせちだと言ったのは福田の方だ。
それに、そんな意味があるなら尚更やるわけにはいかない。福を留めたいと願っているのは、どう考えても俺の方なのだ。おせちに頼るのはなんだか神頼みのようで信憑性が無いが、こうしておせちをつつきながら福田と正月が過ごせているあたり、馬鹿にしたものでもないなと思った。
もちろん、最後のトコブシも俺が福田に譲ることはなかった。
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あけましておめでとうございます。
前回のリョヤスからだいぶ間が空いてしまいました。最近はお絵かきとポケモンに浮気しておりました。申し訳ないです。でも楽しい。楽しいなら仕方ないね。
タイトルが某ドラマに影響されたのは言うまでもないですかね。わかる人はわかるかと。見るたびにね、仙福仙のお題にしか見えなくてですね、はい。すみません。
あと、福田の家が神社ってのは勝手に考えただけです。謹慎中にバスケの練習をしていたのが寺か神社のように見えたので、もしかしてそこが実家なのかな?と勝手に夢を見ております。
だって、勝手にそんなとこで練習なんてできるもんでもないような気がしまして……谷口さんだって神社での練習は夜にやってたよ!いやあれは部活の後だったからだけれども!しかもパワプロクンポケットでも神社で練習出来たような気がしますけども!あれ、意外にできそう…
トコブシもね、あれどうなんですかね。私の家は入っていないんですけど…海が近いところは入れてるご家庭多いんですかね。よく分からないんで曖昧にしました。色んな人に聞いてみたいですね。
そんなこんなで今年もよろしくお願い致します。
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プロフィール
HN:
きりん
性別:
女性
自己紹介:
主に福田と仙道に狂ってます。

