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【越植】( 問)登場人物の心情を答えよ。

テストと陵南2年の話。

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チャイムが鳴ると同時に、そこかしこからため息や悲鳴が漏れた。それを教師がやかましそうに遮りながら、紙を回収する。


やがて教師がいなくなり、室内がより一層騒がしくなる。今日一日中お世話になった硬い椅子ともおさらばし、グッと背筋を伸ばすとやっと解放感に浸れた。
さっさと部活に行く支度をし、他の連中の元へと向かった。久々に部活に行けるということで、自然と足取りは軽くなった。

「お、植草早いな」
「うん……それより、なにこれ」

いち早く俺の存在に気付いた仙道を声をかけてきたが、それよりも仙道の後ろでピクリとも動かずに突っ伏している物体に目がいってしまった。

「あーなんかさっきから『終わった』ってブツブツ言ってるぜ」

なるほど、二つの意味で終わったのか。
大体事情は察したので、とりあえずただの屍のようなそれに合掌しておくことにした。

「まだか」

そんなことをしていると、福田が後ろからぬっと現れた。既に部活に行く準備は万端のようだ。

「おー福田、テストどうだった?」
「もう終わったことをとやかく言っても、何にもならないだろ」

福田はフンと鼻を鳴らしながら「それより早く部活行くぞ」と言った。
すると、今まで固まっていた越野が、錆び付いた機械のようにぎこちない動きで福田の方に顔を向けた。

「どうせ得意教科だったから自信あんだろ…」

恨めしそうに睨む越野に対して、どや?と言いたげな顔で見下ろしている様子を見ると、どうやらその通りらしい。

「まぁいいじゃん、俺と一緒に補習受けようぜ」
「お前と一緒に受けることになるから嫌なんだよ…同じバスケ部だからって世話係にされる方の身になれ、バカ……」

のんきに笑いかける仙道に、げんなりとした様子で越野がため息をついた。
聞いた話だが、仙道が補習を忘れて釣りに行ってしまった時に何故か越野や福田が怒られたことがあったらしい。それ以来、補習を受けないようにとテスト前になると二人とも必死に勉強するようになっていたのだが、今回はどうやら一人しくじったようである。

「まだ補習になるって決まったわけじゃないだろ?」
「そりゃそうだけどさ…」

よっぽど自信が無いらしく、未だに越野の体は机にめり込むように突っ伏したまま、動く様子はない。
せっかく早く部活に行こうと迎えにきたというのに、これでは意味がない。

「そうそう、もしかしたら俺が補習免れるかもしれないし」
「それはない」

そう言って一蹴した福田に「まだ分かんねーだろ?」と仙道が笑いかけた。
普段だったら「絶対ねーよ」と越野も乗るところなのだが、もはやその気力さえ無いらしい。生気の無い目で二人を疎ましそうにじっと見ている。これは明らかに重症だ。

しかし、こっちもこのままでは困る。これではいつまで経っても部活に行くことができない。このまま放っておくという手もあるが、さすがにこの状態の越野を置きざりにして部活に行くのも気が引ける。
やれやれ、と思わずため息を漏らした。

「さっきの福田の言葉じゃないけどさ、もう今回は仕方ないだろ。終わっちゃったんだから」

そう声をかけても、越野は肯定とも否定とも区別がつかない呻き声を上げるだけである。仕方がないので、そのまま言葉を続けた。

「今度の期末の時は勉強見てやるから、早く切り替え…」

俺が言い終わらないうちに、凄い勢いでガバッと越野の体が起き上がった。
あまりにも勢いが良かったので、福田がビクッとその大きな体を揺らしたのが見えた。

「…………マジで?」

目を丸くさせながら聞く越野に、おうと応える。

「あっ越野ずりぃ」
「“植草先生独占禁止法”違反だぞ」
「うるせぇ!俺だって必死なんだよ!」

ブーブー文句を言う二人に、まるで猫のように毛が逆立つんじゃないかと思えるほど、凄い剣幕で越野が威嚇をする。

「四人で一緒に勉強すればいいじゃん。どうせ一人や二人増えたところでそんなに変わんないよ」

面倒になって俺がそう言っても、越野は顔をぶんぶんと横に振って「いや、それじゃダメだ!絶対気が散る!マンツーマンで頼む!」と譲ろうとしない。

「分かった、分かった。じゃあマンツーマンで教えるから。仙道、福田、今回はごめんな」

仕方なく仙道と福田に謝ると「まぁ越野が可哀想だしな」「可哀想な奴だからな」とあっさりと引き下がった。お前らも人のことを言えるような立場じゃないだろと心の中でツッコミつつ、とりあえず事態が収束したことに胸を撫で下ろした。

「じゃあ今後の展望も持てたことだし、早く部活に行こうよ」

そう言って支度をするように促すと、元気良く返事をして、やっと越野が支度にとりかかった。




「よっしゃ出来た、行こうぜ!」

この教室に来てから数十分が経過し、ようやく部活に向かうことができた。
先ほどまで石像のようだった男が、今では先陣を切って歩き出していた。

俺が呆れながらその背中を追いかけていると、仙道が俺にそっと耳打ちをしてきた。


「…ほんと越野って分かりやすいよな」

そうだな、と俺がそれに答える。すると、仙道は柔らかく微笑んだ。


「植草もね」



そう言って仙道は自分の耳をちょんちょんとつつくと、前を歩く越野のところに走り寄っていってしまった。

そっと自分の耳に触れる。
そこは、まるで自分の一部じゃないかのように、異様に熱かった。

「…ほんと、分かりやすいな」






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ポーカーフェイスを気取りたいお年頃。
個人的には、この中では植草が一番勉強が出来るイメージがあります。
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プロフィール

HN:
きりん
性別:
女性
自己紹介:
主に福田と仙道に狂ってます。

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